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アイデンティティ

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 この何日かでテレビで取り上げられるからか『国家の品格』の売れ行きが尋常ではないのです。本が売れてくれる事はありがたいし、この本自体は僕は好きなのですが、こんなに売れてしまうとその読まれ方のほうが心配になってきました。
 この数日のテレビなどでの扱いで、「まずざっと内容を紹介すると…」という概略の紹介が「アレ?」と思わされる場面があるからです。あんなふうにやっちゃうと読まなくても読んだ気になっちゃうし、どこか本当のところで自分の頭では考えなくなってしまうのじゃないかってね思ってしまうのです。
 藤原さんのレトリックは自在に飛び回りますから、ある一行だけを抜き出してしまうと、微妙なニュアンスが飛んでしまいますね。テレビや週刊誌でそれだけを読んだ人が勝手に解釈して、読まれ方が独り歩きし始めたように感じるのですよ。
 日本人としてのアイデンティティーとかナショナリズムって普段は見えないし、取り立てて言い募る必要はないですよね。誰か他者に対してまとまらなくてはならないから(多様な意見があっては困るから)突然に必要とされるものですね。さあここが難しい処なのです、二次情報ではなくとにかく現物をご自身で読んで考えていただきたいのです。

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» 日本語について思った [庫書房店長きまぐれ草子]
あちこちの本屋さんのブログでまた急に売れ出したといわれている藤原正彦の「国家の品格」、数学者が書いたエッセイなのだが、べつに小難しい話ではなく、くだけた世間話を聞いているような雰囲気さえする。 この著者、NHKラジオのニュースジャーナルで「小学5年生か... [続きを読む]

受信: 2006/03/30 09:39

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