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2014年2月

池上彰の新聞勉強術

Photo 新聞のスクラップを始めました。正しくは、後から「読み返したいと思うかも知れない記事」は載っていないかな?という問題意識を持って読むようになったと言うべきでしょう。ネットの時代に、何をいまさらと云われるかも知れません。でもテレビにしても雑誌にしても、インターネットのポータルサイトも、その記事の最初の出所は新聞である場合が多いからです。数字や資料の正確な引用のためにも、事実のウラがとれている新聞を切り取っておく事には意味があります。そう思って読んではいても、何も引っかかって来ない時も多いものです。でも道新の23日の新聞は読みどころ満載でしたね。滝川支局にもいた青山記者が韓国からレポート。国立墓地に元慰安婦の墓を建てた日本人女性の話。読書欄では金森徳次郎著作集といういかにも売れなさそうな(でもぜひ今読むべき)憲法作成に携わった大臣の本が紹介されていました。留めは社会面、皇太子様の誕生日談話です。「今日の日本は戦後、憲法を基礎として築き上げられ、平和と繁栄を享受しています。今後とも憲法を遵守する立場に立ち…」というお言葉が載っていました。自分が最高責任者だから、どうにでも解釈できるという話では決してないのです。

『池上彰の新聞勉強術』文春文庫 著者 池上彰 価格 630円(本体600円+税)

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エンドロール

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 僕は他人のことを悪く言う(もちろん言われる)のは好きでありません。誰かが、他の誰かを悪し様に云うのは、傍で聴いていても、あまりイイ気持はしません。もちろん道にゴミを捨てるような中高生には「小学生以下だな」と注意はしますが…。ベストセラー作家がNHK経営委員になって、その奔放な発言が話題になっています。NHKは公共放送、スポンサーは受信料を払っている一般の国民です。国民の代表としての慎重な態度・物言いが求められます。ですから歴史認識等の発言については言わずもがな、東京都知事選挙の応援演説で、対立候補を「顔を観ただけでわかる人間のクズ」と言ってしまうのは(僕は)気持ちよくは聴けませんでした。もちろん作者の行動・人格とその作品の評価は別けて考えるべきでしょうが、素晴らしい小説を発表して、それがベストセラーになっているだけに、余計残念でなりません。
 同じように、かつての戦争を振り返っている作品に、鏑木蓮さんの『エンドロール』という文庫があります。若い世代が、戦争時の世代の生き方を調べていくという筋立てが似通った構成になっています。『永遠の0』に比べれば何桁も少ない売上なのですが、僕はとても好きな作品で、お勧めです。

『エンドロ-ル』早川書房 著者 鏑木蓮 価格 714円(本体680円+税)
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それでも日本人は原発を選んだ

Photo_2 三丁目の夕日(高度経済成長)の時代から、いやもっと以前からズーッと、日本中の人、物、金を呑み込み続けてきた大都会東京。資本主義経済が高度化、グローバル化すればするほど、その一極集中の度合いはさらに増します。それはまるで、全ての物質がブラックホールの奈落へと落ち込むかのようです。これだけ巨大な都市にあっては、そこで暮らす人びとは「選挙」と言っても、その実感を掴みかねているのではないかと思いました。
 今回の都知事選挙の「現実感の無さ」は、これは一体何でしょう。46%という投票率や、開票が始まったと同時にテレビに映し出された「当選確実!」のテロップに白けた思いをされた人も多かったのではないでしょうか。そしてその結果も週刊誌の予想通り。同日に行われた熊本県水俣市の市長選挙(68.7%)に比べても、あまりにもあっけなく無残に見えてしまうのです。あまりに巨大な選挙の前では、人びとは、自分自身をばらばらにされてしまった砂粒の一つくらいにしか感じられなくなっているのかもしれません。権力の側は国境を越えて団結し、多くの人々はばらばらに分断され、大きな数字の一つとして管理されてゆくという一つの未来の姿を垣間見た気がしました。

『それでも日本人は原発を選んだ』東海村と原子力ムラの半世紀 朝日新聞出版 価格 1,680円(本体1,600円+税)
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友人の阪口君が本を出しました

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『メモリーズ・オブ・ユー』という恋愛小説(?)+ジャズ・ライブCD=2,750円(本体価格)です。 増税前のお買い上げは、ぜひ当店へ!送料350円で、日本全国へ配送いたします。ではでは。

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暗殺者たち

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 高校の日本史を必修にする検討を文科省がするそうです。日本人としてのアイデンティティーを育むとか…、そもそも日本史を独立して学ぶのもおかしな話です。歴史は常に権力を握った人間によって書かれて来ました。
英国公使館焼き討ちに参加し、山尾庸三とともに塙次郎・加藤甲次郎を暗殺した伊藤博文は、幕府から見れば立派なテロリストです。その伊藤をハルピン駅で暗殺した安重根は彼の国では英雄です。この事件と大逆事件を語る講義の形を取った小説が『暗殺者たち』です。
 かつてのソウル拘置所は、もう、いまは使われていません。そして、美しく整備された独立公園のなかの保存建造物に生まれ変わっています。ただし、そこでの展示などでは、日本による植民地支配下で多くの独立運動家たちがここに囚われていたことは丁寧に解説されていますが、大韓民国樹立後も1980年代まで、軍事政権下で多くの政治犯を収容していたことはほとんど述べられていません。そういえば高校時代、日本史のK先生は教科書を一切使わないで授業を進めていました。時の政権が「歴史教育」を言い出すとき、教科書には書かれていない(削除された)事が何であるかを、常に注意深く見ていく必要があるのです。

『暗殺者たち』 新潮社 著者 黒川創 価格 1,680円(本体1,600円+税)


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