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2014年3月

弱くても勝てます

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 さあ球春、いよいよ高校野球が始まりました。春の選抜高校野球が始まると、やっと北海道にも春がやってくるという気分になります。全国4,048校から選ばれた32校が阪神甲子園球場で熱戦を繰り広げます。つまりこれまでに4,016試合が行われ、同じ数の学校が敗れ去っているわけです。その殆どが、人数が足りなくて助っ人部員の力を借りたり、練習場所や時間の確保にも苦労しているのが実情です。甲子園常連校のように、小学生の頃からシニアチームで活躍し、専用グラウンドなどが整った環境で毎日練習しているほうが特別であると言えます。
 ところが東大合格者数で群を抜く、あの開成高校が、平成17年の東東京予選でベスト16にまで勝ち進み、5試合目に国士舘高校(優勝校)に破れるという快挙を成し遂げたのです。その常識破りの弱者の兵法は…エラーの山で相手の油断を誘う/10点取られる前提で、15点取る打順を組む/空振りしてもいいから、思い切りバットを振る/ピッチャーは甘い球を投げろ/ドサクサに紛れて勝つ!…というものです。
 解説で桑田真澄が書いています、野球と違って人生に代打やリリーフはありません。だからこそ常識に囚われずに挑戦すべきなのです。

『弱くても勝てます』 新潮文庫 開成高校野球部のセオリ- 高橋秀実 価格 515円(本体490円+税)


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前を向くカレンダー

Photo_2 あの日から三年と云う事で、テレビでは様々な特集番組が組まれました。何度も何度も見せられたはずなのに、やはり眼をそらす事ができませんでした。なんという災厄が私たちに襲い掛かったのでしょうか。大地が鳴動し海が猛り狂うという自然の厳しさの前に、人知の無力さを思い知らされた感が否めません。東日本大震災後の肉体・精神的疲労が原因で亡くなったり自殺に追い込まれたりした「震災関連死」が、岩手、宮城、福島の被災3県で2973人に上ることが朝日新聞の調べでわかりました。なかでも東京電力福島第一原発事故による避難者が13万人を超える福島県が最多の1660人で、津波や地震による「直接死」の1607人を上回ったのです。被害が長期化する原発事故の深刻さが浮き彫りになりました。被災地の人びとはもちろんの事、狭い島国で助け合って生きていくしかない日本人一人ひとりが痛めつけられています。三年間、私たちは何をしてきたのか、何をしなかったのかが問われているのです。
 朝起きてまず見るカレンダーに言葉があります。「おれだぢをなめんな。何度でも立ぢあがる。」渡辺謙さんらの呼びかけで開設されたサイトから勇気をもらえるカレンダーが出来あがりました。

『前を向くカレンダ- 2014.3.12-2015.3.11』 パルコ出版 価格 1,260円(本体1,200円+税)

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街場の五輪論

Photo 年のせいか涙もろくなりました。今回のオリンピック、多くの人は浅田真央で泣かされてしまったようですが、僕の中では高梨沙羅のインタビューですね。金メダルを確実視されていた彼女が、よもやの4位。大勢に取り囲まれてのきっぱりとした受答えには、ハートを鷲掴みにされてしまいました。多くの感動を貰ったオリンピックであるだけに、どうしても言っておきたい事があります。「スポーツを通して心身を向上させ、さらには文化・国籍など様々な差異を超え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」五輪で、国別メダル獲得数なんて何の意味があるのでしょう?国旗を先頭に選手団が行進したり、表彰式で国歌が演奏されるのは不要ではないでしょうか?「オリンピックで重要なことは、勝つことではなく参加することである」と訴えたクーベルタン男爵の理念は、今や省みられる事もありません。オリンピックは実に政治的イベントであり、過剰に商業的な利権が絡み合い、環境破壊や住民への強制さえもが正当化されてしまっています。フクシマをアンダーコントロールできないまま金儲けに雪崩込んでいいのかという批判が聞こえてきそうです。

『街場の五輪論』朝日新聞出版 内田樹 小田嶋隆 平川克美 価格 1,260円(本体1,200円+税)

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真っ当な式辞だと思うけど自民党内では…?

伊吹議長の式辞

 「天皇・皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、東日本大震災三周年の追悼式が行なわれるにあたり、謹んで追悼の言葉を申し述べます。

 3年前のきょう、東日本を襲った大地震と津波により、東日本の国土は破壊され、多くの尊い命が失われました。犠牲となられた方々と、ご遺族のみなさまに改めてお悔やみを申し上げます。

 そして被災された方々、また福島での原子力発電所の事故により避難を余儀なくされた方々のお気持ちを思うとき、月並みなお見舞いの言葉を申し上げることすら憚られるのが率直な心境です。

 多くの関係者のご努力により、復興に向けた歩みは着実に進んでいます。震災後、被災地の惨状に心を痛めた方々が、被災地を支援するボランティア活動に参加して下さり、多くのきょうお見えの諸外国からの温かいご支援を頂いたことは、物心両面で、復興の大きな助けとなりました。ご支援いただいた皆様に対し、深く感謝申し上げたいと存じます。

 一方で、震災から3年が経過し、被災地以外では、大震災以前とほぼ変わらぬ日々の暮らしが営まれております。しかし、被災地では仮設住宅等で、ご不自由な生活を余儀なくされている方々もなお多く、震災前の生活を取り戻すことは容易ではありません。特に原子力発電所事故のあった福島県では住み慣れたふるさとに戻ることができず、今なお放射性物質による汚染に苦しんでいる方々が多くおられる現状を、私たちは忘れるべきではないでしょう。

 そういった方々の事を思うと、電力を湯水の如く使い、物質的に快適な生活を当然のように送っていた我々一人一人の責任を、全て福島の被災者の方々に負わせてしまったのではないかという気持ちだけは持ち続けなりません。

 思えば、私たちの祖先は、自然の恵みである太陽と水のおかげで作物を育て、命をつないできました。それゆえ、自分たちではどうすることもできない自然への畏敬と、感謝という、謙虚さが受け継がれてきたのが日本人の心根、文化の根底にあったはずです。

 科学技術の進歩により、私たちの暮らしは確かに豊かになりましたが、他方で、人間が自然を支配できるという驕りが生じたのではないでしょうか。そのことが、核兵器による悲劇を生み、福島の原発事故を生んだのだと思います。

 3年目の3.11を迎えるに際し、私たち一人一人が、電力は無尽蔵に使えるものとの前提に立ったライフスタイルを見直し、反省し、日本人として言行一致の姿勢で、省エネルギーと省電力の暮らしに舵を切らねばなりません。

 主権者たる国民より選挙を通じて主権を委ねられている我々国会議員は、被災地の復興に全力で取り組むとともに、震災で得た教訓を元にエネルギー政策の在り方について、現実社会を混乱させることなく、将来の脱原発を見据えて議論を尽くしてまいりたいと存じます。

 結びに、震災で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りし、追悼の言葉と致します。

 平成26年3月11日 衆議院議長 伊吹文明」

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