居酒屋ぼったくり
たとえば吉田類さんがテレビで紹介するような居酒屋と云えばいいのでしょうか。東京の下町にひっそりとある居酒屋「ぼったくり」の物語。それぞれのお客に合わせた旨い酒と肴。美味しい飯と人情があるお店。これまでのグルメ紀行ものや、料理レシピ本とも違うジャンルが出来つつあります。コミックですと『深夜食堂』とかですし、このぼったくりもそうですが「お客一人ひとりを大切に扱ってくれる店」として描かれています。両作ともがフィクションであるのも、こんな店があったらイイな~というノスタルジックな雰囲気に包まれているのも、現実にはかなり少なくなってしまったという事情からなのでしょう。チェーン店のマニュアルどおりのやたら早口な接客に辟易するのは、働く人がちっとも楽しそうでないという事が、こちらにも伝わってくるからです。外食というホンの少しの贅沢な時間を心豊かに過ごせないのであれば意味がありません。コンビニやチェーン店やディスカウントに食い荒らされた町では、会社の利益しか頭に無い店長や、疲れ果てたバイトから物を買わざるを得ません。人生という限られた時間を、心安らかに過ごせる店がいくらかでも残る町で暮らしていきたいと思うのです。
『居酒屋ぼったくり』 アルファポリス 著者 秋川滝美 価格 1,296円(本体1,200円+税)
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