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2014年6月

喰らう読書術

Photo JR江差線で貨物列車が脱線事故を起こした影響で、雑誌・書籍の入荷が二日間も止まってしまいました。新刊雑誌は、書店にとっては主食のようなものですから、その入荷が止められると元気がなくなります。ま、今回はテレビ朝日の取材対応に忙しくしていましたから、ちょうど良かったと言えなくもないのですが…取材を受けるのは、仕事を(他者の眼で)見直す良いチャンスです。何日間か入荷が止まったぐらいで、色あせてしまうような品揃えなのか?という問いかけがなされていると考えてみる訳です。広い売り場に新刊を山積みするような大型店のマネは出来ません。であれば狭い売り場に並べる本は、全部面白い本だけにしたいというのが僕の「見果てぬ夢」なのです。『人間が発明した物の中でもっともよい頭(精神)の栄養、(他人の経験が詰まった)いわば頭の缶詰みたいなものが本です』と荒俣さんは書いています。ネットやテレビが判ったような気持ちになるのに対して、本は読めば読むほど知らないでいた世界がどんどん増えていきます。違った人生に触れ、思いやる事すらしなかった他人の心を判ってあげられそうな(やさしい)気持ちになれるのです。何よりも人生に退屈しなくなるでしょう。

喰らう読書術 一番おもしろい本の読み方 ワニブックス 荒俣宏 価格 990円(本体917円+税)

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置かれた場所で咲きなさい

Photo 毎朝きまって5時半に目が覚めます。カーテンを開けて、冷たい水をまずは一杯。冷凍庫から出した豆をひいてコーヒーメーカーにセットし、玄関から朝刊を持って来ます。気になる本の宣伝や記事があればケータイで写メしておきます。お客様に訊かれた時の為にです。新聞を粗方チェックした後は(少しの時間でも)読書ですね。静かな時間は実に貴重なのです。6時20分くらいになれば妻も起きて来て、一緒にテレビ体操です。これも毎朝の習慣にすると、その日の体調が見事にわかります。布団を畳み、息を整えてから、仏壇にもお供えして、ここでやっとモーニングコーヒーと朝ごはん。テレビの情報番組は(つまらないけど)小さな音で流しておきます。後でパソコンによるチェックはできるので、流す程度でイイのです。むしろNHKBS朝ドラの『カーネーション』の再放送や、『花子とアン』のほうが真剣に見入ってしまいます。まあ以上が僕の出勤前の日課です。8時前には店に入って、荷物を開けたり、注文品を整理したりと仕事に追われる時間が待っているのです。ああもっとゆっくり本を読みたいものだと思う毎日なのですが、不平を言わずに『置かれた場所で咲きなさい』と言われてしまいます。

『置かれた場所で咲きなさい』 幻冬舎 著者 渡辺和子 価格 1,028円(本体952円+税)

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そして、星の輝く夜がくる

Photo 阪神・淡路大震災の時に神戸で被災し、妻子を失った小学校教師が主人公の小野寺徹平です。東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北三県から「教師が足りない」という要請を受けた神戸市教委が2011年5月に34人の教諭を派遣する所からこの物語は始まります。「まいど!」と教室に乗り込んでいった彼は、子供達に作文を書かせます。ただし「もうやってられんわ!って腹立つことを必ず書いてくれ」と言いました。そして黒板に「がんばるな!」と大書して、子供たちを驚かせた後は、作文をもとに『わがんね新聞』を作ります。創刊号に小野寺の檄文が踊ります。…第一小学校の諸君。町は全然復興しないし、家にも帰れない。こんな生活はイヤだ。いや、おかしいぞ!みんなもっと怒れ、泣け、そして大人たちに、しっかりせんかい!と言おう。『わがんね新聞』は、この世の中と大人たちに、ダメだしをする新聞です。…経済小説で知られた真山仁ですが、1995年1月17日には神戸で被災しています。あの時の復興のスピードと今回とのあまりの違いに驚き、書き上げました。被災地が抱えている問題とそれによって起きるであろう様々な感情をタブーを設けず踏み込んだという短編集です。

『そして、星の輝く夜がくる』 講談社 著者 真山仁 価格 1,620円(本体1,500円+税)

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沈む日本を愛せますか?

Photo
 「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに」と言ったのは井上ひさしさんですが、自分の考えを人に伝えるのは本当に難しい事です。話の中で「要するに」という言葉が何度も出てくるようですと、ご本人も要領を得なくなっている証拠です。国会での安倍総理の答弁が判り難いのも仕方がありません。何かこう劇的に企業業績が改善し、所得が倍増して、人口が増えるなんて中学生でも信じてはいません。これからの日本は、世界でも例の無い状況に足を踏み入れていくのです。手本となる国などありません。首相が将来のビジョンを示せないのは当然のことであるのです。海外から帰ってきた人たちが異口同音に「やっぱり日本はイイわ」と言うのが良くわかります。様々な欠陥や制度疲労は否めないものの、それでも今の日本のシステムは世界でもトップレベルの水準にあるのです。後はこれをぶち壊しにしないようにどう上手くやっていくかが問題なのですね。その為になら身銭を切るという人が多ければイイ国になりますし、政府なんか信用できないから年金も税金も払いたくないという人が増えてしまえば住み難い国になってしまうことでしょう。

『沈む日本を愛せますか?』 文春文庫 著者 内田樹 高橋源一郎  価格 767円(本体710円+税)


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