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跳びはねる思考

Photo 苦しくてたまらなくなると、空を見上げます。目に飛び込んでくるのは、抜けるような青空と白い雲です。見ている僕はひとりぼっちなのに、世界中の人とつながっている気分になります。自然はどんな時も、人々に平等です。そのことが僕の心を慰めてくれるのです。お日様は頭上を照らし続け、風は四六時中、僕の隣を通り抜けます。木々の緑は美しく、空気は澄んでいます。こんな自然の中でなら、ありのままでいられるのです。つらい気持ちはどうしようもありませんが、ひとりではないと思える瞬間が、僕を支えてくれます。…これは、会話のできない重度の自閉症者である東田直樹君がパソコンで綴った文章です。彼は云います…僕は、二十二歳の自閉症者です。人と会話することができません。僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう。只でさえ「生きづらい」世の中は、ますます弱者に厳しい社会になっていくようです。人はダレでも何らかの障害を抱えて生きています。どんな環境の中にあっても美しく咲こうとし、種をのこそうとする植物のように生きたいと云うのです。

『跳びはねる思考』 イ-スト・プレス 著者 東田直樹 価格 1,404円(本体1,300円+税)

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